新型コロナウイルスが再び猛威を奮っています。
ニュースを見ていると、PCR検査、抗原検査、抗体検査など色々な検査の名前を耳にする機会があるのではないでしょうか。
しかし専門用語が多くて、素人にはよくわかりません。
今回は、PCR検査、抗原検査、抗体検査それぞれの検査の意味を詳しく解説していきます。
新型コロナの感染が疑われるときの検査の流れ
感染が疑わしい時は、どこの病院に行ってもよいというわけではないのです。検査を受けられる病院は限られているため、各自治体の保健所に電話で相談をして指示を受けた医療機関を受診しましょう。
PCR検査は医師もしくは看護師が鼻や喉に綿棒を入れて細胞をぬぐい取って検査をしていきます。PCRの検査結果は出るまでに数時間ほどかかります。PCR検査で結果が出れば新型コロナウイルスの感染は確実です。
しかし、1回PCRで陰性だったけれど明らかに新型コロナウイルスと思われる症状が出ているという方、結果を急いで知りたいという方には抗原検査も行われます。抗原検査の検体もPCRと同じく医師や看護師が鼻咽頭ぬぐい法によって採取した細胞です。
抗原検査はPCR法と異なり30分程度で検査結果が出ます。PCR法のような特別な機械がいらず検査薬のみで検査できすぐに結果は出るものの正確性に欠けるため、抗原検査を主体的に行うということは少なく、PCRと合わせて行い、診断を確定させるために使います。
PCR検査
PCR検査はポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)の略。ウイルスの遺伝子を増幅させて検出します。鼻や咽頭をぬぐって細胞を採取して検査。発症から9日以内であれば唾液からの検査も可能なのです。
ウイルスは下気道にいることが多く、痰がからむなどの症状が見られている方には痰を検体にして検査を行います。PCR検査は新型コロナウイルス感染症の確定診断に用います。この検査で陽性判定が出た場合には新型コロナウイルスに感染しているということになります。新型コロナウイルスに感染しているかどうかを知るためのPCR検査は3月より保険適用です。
抗原検査
抗原検査はウイルスに感染した細胞が特異的に産生する抗原を検知して診断に導く検査。こちらも新型コロナ感染症の確定診断に用いることができます。新型コロナウイルス感染症と思われる症状が発症した方でも発症2~9日目の間にこの検査で陰性となった場合には、その時点では新型コロナウイルス感染症ではないと言えます。
新型コロナの抗原検査をするキットは30分ほどと非常に最短。特別な検査機器を使わずに検査ができるというメリットもあります。ですが、診断をつけるためには一定のウイルス量が必要となるため、PCR検査では陽性となったものの無症状の方、新型コロナウイルス感染症に無症状で感染している方がいるかどうかのスクリーン検査では使えません。
抗体検査
抗体検査とは新型コロナに感染していたかどうかを調べる検査。新型コロナウイルスに感染すると形成される、たんぱく質が体内にあるかどうかを調べることができます。抗体検査は新型コロナに感染後13日以降では、約96%の陽性率ですが、感染後9~12日目の陽性率は約50%と言われており、まだ、期待されるほどの制度が出ていないことも現状です。
また、日本での検査は自費診療。自身に抗体がついているかどうかの判定というよりも疫学調査のために用いられることが多くなっています。新型コロナ感染が陰性であるという証明として抗体検査を行っている、あるいは行うことを推奨するという考え方を唱える方もいらっしゃるようですが、厚生労働省ではそのような目的での検査を推奨していませんので注意が必要です。
PCR検査の偽陽性について
PCR法では検体採取や検体保存の条件などで偽陽性(本当は新型コロナウイルス感染症で無いのに、陽性と出てしまう)、偽陰性(本当は新型コロナウイルス感染症であるのに、陰性と出てしまう)が起こりえるのです。
この割合ははっきりしていませんが、PCR検査の感度(新型コロナウイルス感染症の方で、PCR検査が陽性となる割合)は現時点では高くて70%と考えられており、検査結果の判断は慎重に行う必要があります。PCR法で陰性でも、新型コロナウイルス感染症でないとは言い切れないことがあるのです。
まとめ
PCR検査、抗原検査、抗体検査の違いなどについて説明しました。日本では、クラスターを丁寧につぶしていくという感染拡大防止戦略をとってきました。やみくもにドライブスルーで不安な人の要求に応えるかわりに、一人の感染者が明らかになったら、その周囲の濃厚接触者をきっちりとあぶり出し、その人たちについては無症状であってもPCR検査を実施しています。
現在は濃厚接触者、もしくは目立った症状がないと保険診療もしくは無料のPCR検査を受けることができない現状です。
自費診療でのPCR検査は1万5000円~5万円であるので、心配な方は実施しているクリニックに連絡すると受けることができます。