朝ドラ「まんぷく」が少しだけ面白くなる話

朝ドラ「まんぷく」が少しだけ面白くなる話

2018/09/19
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ミニ安藤百福ものがたり

10月からNHKの連続テレビ小説で「まんぷく」という作品が始まります。大阪が舞台の物語なので、関西の視聴者にはかなりの人気が期待されています。

主人公立花福子の旦那、立花萬平のモデルは、実在した人物安藤百福。安藤は日清食品を創業し、世界で初めてインスタントラーメンを作った実業家です。今日は周りに自慢できるような、安藤百福のトリビアを紹介しましょう。

 

百福 台湾で生まれる

安藤百福は明治43年、台湾の台南県という所で生まれました。幼いころに両親を亡くし、勉強をする傍らで祖父母の繊維工場を手伝います。
時代は昭和初期。これからは繊維業の時代だとメリヤス(靴下や下着などに使われる繊維)の企業を立ち上げ成功させたものの、軍需工場では材料の横流しの濡れ衣で憲兵の拷問を受け、戦争が終われば自分の会社で働く学生に自腹で配っていた奨学金が脱税容疑にかけられ、GHQにより逮捕。辛い刑務所生活を終えた安藤が釈放された頃は、不動産がすべて没収されており、事業も整理されてしまっていました。

 

戦後の貧しさからの脱却を目指して

戦後街を歩く安藤は、市民の貧しい姿を目にします。食べる物に困り管理の行き渡らない材料で作られた食べ物を口にしなければいけない子供たち。
日本国民に安くて手軽で安全で美味しい料理を提供できないものだろうか。こうして安藤のインスタントラーメン開発が始まります。

 

チキンラーメンの誕生

幸いな事に、GHQ(アメリカ)のおかげで小麦粉が安く手に入る環境でした。そこで安藤は大阪府池田の自宅の庭に小屋を作り、インスタントラーメンの開発を始めます。
最初から味がついていて、日持ちして、お湯をかけるだけで食べられて、と1年間ひたすら開発を行い、出来あがった麺を油で揚げる「瞬間油熱乾燥法」を発明。カラリと揚げられた麺は乾燥しているので長期保存が出来、なおかつ揚げる事で麺に無数の穴が開くので、お湯を入れると穴に水分が入りほぐれやすくなるという、画期的なアイデアでした。

発売当時のチキンラーメンの価格は35円。うどんが1玉6円である事と比べるとかなりの高値ではありましたが、これが大ヒット。生産が追い付かず追加工場用に買った高槻市の土地の購入代金が、チキンラーメン1カ月分の売り上げでまかなえたそうです。

 

当然出てくるニセモノ達

現在よりも権利が緩い昭和時代。当然のようにチキンラーメンの偽物が出回りました。自分でパッケージを作るならまだしも、食べ終わったチキンラーメンの袋に粗悪な偽物を入れてパッケージし直すひどいバージョンまで出回ります。
この時、偽物を作っていた会社のラーメンは製法に問題があったのか、それとも健康に悪い影響を与える成分が入っていたのか、食中毒を訴える人が出てきたようで、「インスタントラーメンは体に悪い物」というイメージが出来てしまい、現在もそれが続いています。

本家の材料は小麦粉、チキン、醤油など安全なもので作られており、1960年には厚生省から「特殊栄養食品」として認められているものなので、随分と迷惑なお話ですよね。

 

カップヌードルを発明

チキンラーメンは日本中で売れに売れ、海外でも売れました。そこで視察の為にアメリカのスーパーへ行ったところ、現地の方が紙コップに砕いたチキンラーメンを入れ、お湯をかけてフォークで食べているのを目にします。
「丼が無い所でもフォークで食べられるインスタントラーメンを作ればいいんじゃない?」
そうしてできたのが世界初のカップ麺「カップヌードル」で、みなさんがご存じの通り大ヒット。現在では日本も世界も超えて、国際宇宙ステーションでも食べられています。

安藤百福自信も毎日のお昼にチキンラーメンを食べ続けて、96歳まで元気に過ごしました。

 

チキンラーメンを作ってみよう

チキンラーメン生誕の地である池田には、現在は安藤百福発明記念館(カップヌードルミュージアム)があり、チキンラーメンを開発した小屋が再現されているほか、歴代のレトルト麺や開発秘話が分かる資料が無料で見られます。
さらにこちらは有料ですが、自分でカップラーメンをデザインできる「マイカップヌードル・ファクトリー」や、機内食やご当地のカップめんが食べられるコーナーがあります。また予約制のチキンラーメン制作体験もできるので、デートやお子様を連れていっても楽しめるはずです。
アクセスは阪急電鉄池田駅から徒歩5分。この記事を読んでお腹が空かれるタイプの方は、足を運ばれてはいかがでしょう?

この記事のライター

yoko

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